よく、濃霧に襲われる。
夜は数十m先の街灯も、見えない。
いつもなら見える、遠くの民家の明かりも、
自動販売機の明かりも、ほとんど見えなくなる。
信号の明かりも。
町全体が、停電したように。
ひっそりと。
同じ場所なのに、どこか異世界のように。
でも、街灯に近付くと、いつもの光景がぼんやりと見えてくる。
実はそんな瞬間が、私は少し好きだったりする。
華やかな明かりに包まれて、
夜も眠ることのない街並みの方が、百倍好きだけど。
ごく稀に、
あぁ、これはこれで悪くないという気持ちにもなる。
良くも悪くも、心の持ちようで。
見るものは陽にも陰にもなるんだなぁと、
こういうところで気付く。妙に納得する。
なんて。
なにがし。