病んでる系カウンセラーのブログ

カウンセラー(アマチュア)視点で書くゆるゆる日記

伝えることで人が変わる?予言の自己成就の話。

予言の自己成就という心理学の用語があります。

これは例えば。

「あなたは優しい人だね」と言われた人が、 優しい人と言われるような行動を自ら選び、振る舞うようになるというようなものです。

今日はそんな予言の自己成就について。

人間関係でうまくいかない。
身の回りに変わってほしい人がいる。
そんな人に。

何かを伝えられたらいいなと思います。

褒め上手は人たらし

誰だって、褒められたらうれしいものです。

「あなたは、かしこいね」 「あなたは、頑張っているね」 「あなたの努力は素晴らしいね」

褒め言葉は色々ありますが。
人を褒めるということは、コミュニケーションにおいて隙が少ないと私は思います。

ちょっとアレな表現ですが、豚もおだてりゃ木に登るという言葉があるように。
褒め言葉には人を良い気持ちにさせるような意味が込められているので。
批判されたり反撃されたりという、人間関係におけるマイナス要素につながりにくいものです。

だから、良い印象を持たれやすく、悪い面は流してもらいやすい。

褒めるという行為が上手な人は間違いなく。
人との関わりの中で非常に優れた面を持っていると私は思います。

予言の自己成就

そしてこの褒め上手が持つ、非常に強い特性があります。
それがこの、予言の自己成就です。

あなたは、こんな人だね。

そういう言葉を言われると。
その人の期待に応えなくては、という気持ちになるもので。

その言葉通りに。
さながらその言葉が予言のように。
その言葉の意味を間違いにしないように。

人は行動を変えます。

これが予言の自己成就です。

褒めて伸ばすという指導方法がありますが、この特性をうまく利用したものと言えるでしょう。

厳しい指導がもたらすもの

予言の自己成就は、言うまでもなく相手の行動を相手自身考えによって変えるものです。
自分で自分の行動を変えるということは、人の成長において非常に大事なものだと私は思います。

それに対して、厳しい指導によって人を叩き上げるのはどう違うのか。

私が体験した例を紹介します。

私は何度か。
仕事をしていく中で、中々に厳しい上司と仕事をしたことがあります。
声を荒げるのは日常茶飯事、気に入らなければ即怒鳴る。
その人が目に入るだけでチーム全体がピリッとしました。

上司の機嫌を損ねない為に一丸となって仕事をこなした結果、チームとしての成績はトップレベル。
もともと大きな結果を出せていなかったチームが一転、トップレベルの成績になったのです。
これだけ見れば、そのチームに所属していた人たちは、素晴らしい成長を遂げたように見えます。

しかしその後厳しい上司が去って、新しい上司になりました。
次に就任した上司は物腰が柔らかく、声を荒げるなど全くしない優しい人。

チームの成績は、悪くなりました。

こういう経験をしたことがある人、きっといらっしゃるのではないかなと思います。

これは他人の存在に依存する、外的要因による行動の変化です。

あの人がいるから、こうしよう。
という理屈がある為に。
あの人がいないから、やらなくていいや。
そんな動機による行動も同時にもたらします。

内的要因による成長と、外的要因による成長

果たして。

怒られるから、ちゃんとする。
怒鳴られるから、頑張る。

そういう外的要因によって一時的に行動を変えるということは、成長と言えるのか?
この経験で私はそう思いました。

もちろん、叱るということを根本から否定するつもりはありません。
叱咤激励という言葉もあります。
厳しい指導によってしか得られないものも当然あると思います。

しかしながら。
こういう状況でチーム全体が緩む、あからさまにパフォーマンスが落ちるということを経験した結果。

こういった指導はかなりのリスクがあると感じました。

厳しいリーダーがいる時だけの、見せかけだけの成長に似たなにかではないか?
そうとすら感じました。

確かに、数字の上で結果を出すということは社会では何にも代え難い素晴らしいことです。

しかし実際は、言われたからやる。怒られるのが嫌だから頑張る。
怒られるのが嫌だからとミスを隠すことばかり上手になる人もいる。

ポジティブに捉えればそれもひとつの技術ではありますが、そんな実態がそこにはありました。

常にリーダーが目を光らせているならば、それでも良かったかもしれません。
しかし。
リーダーも休暇を取ります。
出張になることもあるでしょう。
最終的には、別のリーダーに変わることさえ珍しくもありません。

こういう時、途端にパフォーマンスが悪くなるようでは。
後々のことも含めて考えれば、おそらくきっと良いとは言えない。

自分で自分を変える、いわゆる内的要因による成長。
これならば上司の存在なんて関係なく結果を残せる人材になるはずです。

そちらを選ぶ方が、指導する側が抱えるリスクは小さく、効果は高いと思います。
結果が出るまでは時間がかかるかもしれないので、唯一絶対の正解ではありませんが。

少なくとも私は。
内的要因による成長には高い価値があるのではないかなと思っています。

おわりに

だから。

内的要因による成長を自然に誘い出す予言の自己成就は面白いものだと思います。

身の回りの人に、感謝を言葉を伝えるだけでも効果はあります。
大切なのは、思いをはっきりと口にすることだと思います。

もちろん、強い言葉でものを伝えることは否定はしませんが、

少し意味が違うと言うことを知ってもらえればなぁと思います。

恐怖などの外的要因によって得られるもの。
自発的な内的要因によって得られるもの。

どちらも、経験という意味を含めれば成長のきっかけにはなります。

しかし物事は表裏一体。

自発的な行動による成長で得られない経験があれば、
厳しい指導による成長で失ってしまうものもまた、ある。

どちらを、どう選ぶかは自由です。

ただ。
相手の心に干渉する以上は。
こんなことを念頭に置いておくと何かの役に立つのかなぁなんて、思います。

なにがし。