病んでる系カウンセラーのブログ

カウンセラー(アマチュア)視点で書くゆるゆる日記

心理学の危機を語る。

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www.afpbb.com

五年ほど前の記事ですが、こんなことが米科学誌Scienceで発表されたことがあります。

ざっくり説明すると。
心理学において、社会実験(ある集団に対して何らかの実験をすること)の結果による学説で、そのうち100個の実験について同様の実験をしたところ6割が同じ結果にはならなかったよ、という記事です。

さらに。

こんな時に人はこう考えてこんな行動をする傾向がある、みたいな心理学の話の多くは再現できないことが分かった。
この結果だけ見て完全に否定するわけじゃないけど、みんなあんまり信じすぎちゃダメだと思うよ?

という感じの偉い人のコメントまで載っています。

ちょっと前にあったSTAP細胞の話よろしく、科学の世界では再現性や根拠というものが非常に重要であるわけなので。
その中で心理学という分野が取り上げられることはみんな危ないと分かっていたけどついにやりやがったな、という印象を受けます。

先人たちが積み上げてきた心理学という学問の根底が揺るがす、何とも科学者らしい実験。

今日はそんなことについて書いていきたいと思います。


私が何度も書いてきた、

大事なのは目の前の相手を見据えること。ただ、それだけ。

という言葉の背景には、この実験結果がもたらす意味合いが含まれています。

心はそもそも見えないし、数値化もできません。

いくら統計といえど。
国籍、性別、年齢、それら全てのサンプリングが平等にできるわけではないので。
偏りが出来てしまうのは当然です。

ホモ・サピエンスという種族は一緒でも、国が違えば文化も考え方も違って当然で。

全てが全て嘘だとも言わないけれど。
Scienceの偉い人が言った言葉には私も全面的に賛成です。

あくまでも。

こんな傾向があるかも知れない、可能性というだけの話で。
全くない人もいれば思いっきり当てはまる人もいる。
アメリカ人には当てはまって日本人には当てはまらない、なんてこともあるかも知れない。

ましてや。

心理学の学説を発表する人も人間なので。
例えば、色々やってみたらたまたま面白い結果が出たから発表してみよう的なものも中にはあるかも知れません。
漫画家や小説家の話で良くある、締め切り間近のやっつけ仕事みたいな話も無いとも言い切れませんね。

こんなことを考えると更なる懐疑の念を抱かざるを得ません。


しかしながら。

www.afpbb.com

冒頭の記事に対しての反論もあったりして。
なんやかんやとゴタゴタした話にもなっています。

この辺りは、学者の本文と言いますか。
あーでもない、こーでもないとお互いの言い分を持って討論しているようです。

統計の取り方とか、難しいことは分かりませんが。

まず持って明確な結論は出ないんじゃないかなと思います。

このやりとりは4年前のものですが、私が調べた限りではこの続きの情報(少なくとも日本語版)は見つけられませんでした。


最後に。

一応私は心理学に関しての勉強をしているので。
ほんの少しだけ擁護もしておきたいと思います。

ウィキペディアに、再現性の危機という記事がありました。

ja.wikipedia.org

この中で、こんなことが書かれています。

1500人の科学者を対象にした2016年の調査によれば、70%の研究者が他者の実験の再現に失敗した(50%の研究者は自身の研究の再現にも失敗している)。この数字は分野によって異なる[4]。 凡例: 他者が行った実験に失敗したことがある人の割合 (自身が行った実験に失敗したことがある人の割合) 化学: 90% (60%) 生命科学: 80% (60%) 物理学と工学: 70% (50%) 医学: 70% (60%) 地球科学と環境科学: 60% (40%) 2009年には科学者の2%が、少なくとも一度は(自身が)《研究のねつ造》(=科学における不正行為の一種)を行い、科学者の14%は そのようなねつ造を行った人を個人的に知っていることを認めた。「(実験)処理の誤り」は、(他の分野に比べて)医学研究者の方がより頻繁に報告している[5]。
wikipedia 再現性の危機 より抜粋

これです。
私もちょっと驚きましたが。

こうやってみると、心理学の60%が失敗って別に低くなくない?と思ったりします。

このウィキペディアの記事ではその中でなぜ心理学の再現性が槍玉に挙げられているのか、ということも書いていたりします。

難しいけど頑張って読んでみたところ、
それなりに白黒はっきりしている化学的な分野と比べて、社会実験を伴うものは結局データの取り方でどうとでもなるから他のより怪しいんじゃね?みたいな理由っぽいです。
間違っていたらごめんなさい。

曖昧で再現性や反証可能性(再現によって結論が否定できること)が低い分野ではあることは間違いないですし、私は心理学=科学とも思っていませんが。
他の分野でこんなに再現性の無い発表をしていることもどうかと思ってしまいます。(反証や討論によって内容を深めようとしているのかも知れませんが)

まぁ。

散々心理学についてこき下ろした手前なんですが心理学だけがおかしいわけじゃ無い、ということも知っておいていただけたらなと思います。

こういう学説も踏まえてカウンセリングという手法が出来て、実際にそれに救われている人もいるわけですから。

その点については紛れも無い事実。
分かっていただければ嬉しいです。

なんて。

なにがし。