もう、一年ほど前になるでしょうか。
私は、職場で十円を拾いました。
ネコババはせずに、
落とし主が現れるといいなぁと、近くの人目につくところに置いていたのです。
職場内でも、人通りが限られるところだったので、きっと落とし主なら分かると思ったからです。
それから、一年。
今日も、私が置いた十円玉は、その場所にあります。
不思議なものですよね。
きっと、落とした人はわかるはずなんです。
自販機の前などだったら、自分のじゃないかもしれないと考えるかもしれません。
しかし、そこはお金なんて出す必要のない場所。
間違いなく。
わかるはずなんです。
それでも、その十円は、今日もそこに。
遠慮なのか。
なんなのか。
私には知る由もありませんが。
いつか、持ち主の財布に戻ることを祈ります。
表現が難しいんですが。
奥ゆかしい日本人ならでは、といった風景でしょうか。
なにがし。