私は、これまで生きてきた中で何度か死にかけたことがあります。
今日はそんな話を書こうかと思います。
高校時代の真夏の暑い日。
早朝から、部活動で他校に練習試合に行った日です。
試合が終わり、昼過ぎに解散。
その日の街は、地元の大きなお祭りで賑わっていました。
「家に帰ってシャワーを浴びて、遊びに行こう」
そんなことを考えていたと思います。
私の家までは20キロ程度。いつものように原付のスタンドを蹴り倒し、
帰路に着きます。
それから、 数分後。
ガッシャーン。
という大きな音とともに、私の目の前に広がったのは。
青。青。青。
突き抜けるような、真夏の空の色。
そして身体中を風が包みました。
何が起こったかはわかりませんでしたが、
とても心地よかったのは覚えています。
そして。
どんっ。
という衝撃が全身を包みました。
回転する景色。 鼻の奥に感じる、ツンとした匂い。
熱中症かなんなのか。
原因はわかりませんが、私は。
原付を運転中に意識を失い、ガードレールに衝突。
そのまま崖のような法面を転げ落ちていたのです。
足は変な方向に曲がり、
そして真夏の炎天下。
気づいた時にはどうすることもできません。
背中を打ったのか、大きな声も出ません。
ヘルメットはしっかりとつけていたので、幸いにも頭は無事。
しかし、暑い。
草と土の匂いと、汗の匂い。
「やばい」
直感しました。
一体、自分がどこにいるのかもわかりません。
枝でも刺さったのか、大きな穴が空いた太もも。
這い上がってくるアリがその穴に入らないように、
ひたすら払い落としていました。
(後に、骨が皮膚を突き破った穴だと判明)
どうしよう。
ぼんやりとした意識の中で、
自分が置かれている状況が少しずつクリアに。
ちょっと、やばいかも。
暑い。 足も動かない。
崖の途中にいる。
助けが来なかったら、死ぬ。
携帯も荷物も、どこかにすっ飛んでいました。
そんな時です。
「大丈夫かー」
はるか上の道路から、誰かが声をかけてきました。
「すいません、動けません」
「救急車をお願いできますか」
掠れた声で叫びました。
「わかったー」
救急車が来るまで、 辺りを見回して、自分がいる場所を確認。
どこか見覚えのある景色でした。
程なくして、祭りで神輿を担ぐ準備をしていた母親が駆けつけました。
なぜ、母親がここに?
そう思いましたが、それもそのはず。
その場所は私の家の目と鼻の先。
家まで残り5分の場所でした。
そして救急車が到着し、
私はお祭りの準備を終えた男衆に運ばれて崖から救出。
(救急隊員だけでは登れないほどの険しい場所でした)
なんともありがたく、そして恥ずかしい。
そんな救出劇。
それから無事に病院へ。
そんなことがありました。