私がよく通る道の、その道端に。
一軒の畜産農家があります。
道路を眺める、黒毛の牛たち。
…ちょっと昔を思い出しました。
私の実家も、昔。
同じように畜産をしていたのです。
じいちゃんの手伝いをして。
牛の出産に立ち会って。
仔牛の頃からお世話をして。
たしか、「ハナ」という名前をつけたことを今でも覚えています。
小さかった私は、ハナがどうなるかなんて深く考えもせず。
一生懸命に面倒を見ていました。
学校から帰ってきて、成長を見るのが楽しくて。
ランドセルを下さずにそのまま牛舎に向かうこともあったように思います。
ある日。
私がたまたま体調不良で学校を休んだ日、だったと思います。
トラックが家に来て、 牛舎で、牛たちが騒いでいる。
気になって外を見たら、ハナが引っ張られて、トラックに入れられるところでした。
その後のことはよく覚えていませんが、
泣きながら「連れていかないで!」と叫んでいたそうです。
そのとき初めて、私は牛たちの未来を知りました。
いや、泣いたと言うことは。
それを心のどこかで分かっていながら、お世話をしていたのだと思います。
牛も豚も、私たちが生きるために育てられて、その命を絶たれるのです。
私たちは、命をいただいて生きている。
「かわいそう」なんて言う権利は、ありません。
だからせめて、食事の前には手を合わせましょう。
今日は、そんなことを書きたくなってしまいました。
なにがし。