勝つか負けるか、上か下かが明確になることは少なくない。
テストの結果ならば、個人の価値観を除けば一位以外は全員負けと言える。
スポーツもそう。勝ち負けは明確に決まるし、トーナメント形式ならばテストと同じく一位以外はみんな負け。
会社だって、階級が上の方が基本的に人数は少ない。
従業員三人で部長が十人なんて会社はきっと無い。あっても多くは無い。
世の中お金持ちの人数に対してずっとずっと多く貧乏人はいるし、
希望した会社に入る人よりも、妥協して就職した人の方がきっとずっと多い。
有名になって紅白やテレビに出るミュージシャンよりも、夢破れて田舎に引っ込んだ元ミュージシャンの方が圧倒的に多い。
勝つということはやっぱり勝ち上がった一握りで。
負けたということはその他大勢みたいな扱いにどうしてもなってしまう。
どんな綺麗事を並べても。
きっとその事実は変わらなくて。
その中でどう生きていくのか、何を選んでいくのかが社会だと私は思う。
時に。
最近私は思う。
結構、人は人の上に立ちたがる。
私もそこそこの負けず嫌いなので気持ちはわからないでも無いけれど、
なんかこう。
舐められたら負け。見下されたくない。言い負かされたくない。
あの人はここがダメ、この人はああいうところがダメ。
いわゆる、マウントを取ろうというのがよく目につく。
それ自体は別にいいと思う。
社会は結局勝つか負けるかだと私も思っているし、
弱みを見せれば喰いつかれ、引きずり下ろされるのは世の常で。
隙を見せた結果、誰かに横取りされた時点で自分の努力不足や認識不足でしかない。
ただ。
なんかこう。
それが度を越してきたなぁ、とも思う。
私の感性がただそう感じているだけならばただの杞憂で、それ以上は何も言うことはないけれど。
周りは全て敵、なんて考え方にならざるを得ない状態になってきている気がする。
もともと社会はそういうもので、私が世間知らずなだけなのか。もしくはこれが大人になったということなのか。
単純に私の周りや得た情報がそういう方向性のものが多いだけなのかもしれないけれど。
こう、全体的に余裕がなくなってきたなぁと感じる。
競争社会。
そういえば聞こえはいいけれど、別にそこまで競争しなくてもいい関係であるはずなのに、
どちらが優れているかとかどちらが上か下かなんてやり取りがものすごく多い。
協力して大きな結果を出すことが求められる場合もあるし、
役割を決めてチームワークを持って乗り切らなきゃいけない場面もあるのではないだろうか。
そんなことを感じる頻度が多くなってきた気がする。
それで。
最初に書いたような、敗者が多い論とつながってくる。
負けた経験は人を強くすると同時に、次は勝ちたい、負けたくないという気持ちも強くする。
負けたくない気持ちは分かる。
私も圧倒的敗北者な人生を歩んでいる一人なので、その気持ちは痛いぐらい分かる。
負けることはつらいんだ。すごく。
だから負けたくない。勝ちたい。小さな討論ですら。
日常の一コマですら。
私はこう考えていたの(だから私は正しいのよ)、
俺はこう言ったのに(それをやらなかったあなたが悪い)、
僕はこう思っていた(だから僕の方が優れている)、
後付けだろうとなんだろうと、他者をけなし、優位に立とうとする。
悪くはないと思う。でも。
圧倒的に数の多い敗者たちが、そうやってその中で勝つことばかり望んでいる。
数少ない絶対的勝者には勝てない。
けれど少なくとも敗者の中では上にいたい。
そんな流れ。
もし、世間が本当にこんな流れになっているのなら。
率直にその中で生きていくのって大変だなぁと思う。
逃げることはできないけれど。
競争社会であることは否定しないし、誰かを蹴落とすことも別にいいと思う。
世の中の流れは簡単には変わらないし、そういう流れが出来ているならこれからきっともっと激しくなっていくと思う。さらに言えば、この流れに乗れない人が結局苦しむ。
あなたの言っていることはおかしい、世の中全然そうじゃないよと誰かが私に言ってくれるならそれはそれで喜ばしいとすら思う。
ただ。
少なくとも私の身の回りはそういう状況で。
環境をがらりと変える何かがなければ、
世の中の話と違って変わらない事実なので、
私は私で少しでも。
その中でもがいて苦しんでたまに楽しんで、
それを乗り越えていかなきゃならないことは確定している。
私の他にも、自分の身も周りもそうだなぁと思うならばきっと。
その中で自分はどういう人生を紡いでいくのか、なんてお洒落に向き合っていくしかないのではと思います。
もちろん人生は勝ち負けうんぬんの狭い話ではないけれど、人と人とが共存して評価し合う以上。
良いとか悪いとか、成功とか失敗とかの線引きは多くの場合まとわりついてくる。
でもそこで。
一般的に良いとされることが自分にとっての正解か。
成功したから正解か。失敗したから不正解か。
他人の線引きと、自分の線引きは違う。
そういうところを考えると、見えるものも変化するのかなぁと思います。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
戯言かもしれないけれど。
何かの、足しになっていただけたら嬉しいなと。
そう思います。
なにがし。