他人や自分が、この先どんな行動をするか。
そんなことはなかなか分かることではありません。
しかし。
世の中には頭の良い人がいるもので、それを誰でも分かる形で表した人がいます。
認知的均衡理論(バランス理論)、ハイダーという人が提唱したものです。
私は個人的に、これは面白い理論だと思っています。
知らないよりは、なんとなくでも知っている方が良いんじゃないかと。
この理論を知っていることで、自分や他人の行動に納得したり、予測して行動ができたりすると思います。
今日は、そんな知っているとちょっとお得なバランス理論の話を。
誰でも分かるように、簡単に書いていこうと思います。
この記事のターゲット
- コミュニケーションを優位に進めたい
- 心理的な知識を簡単に理解したい
バランス理論とは
バランス理論の説明をします。
自分と相手、そして共通の話題や関心(対象X)。
この三者の関係があるとしましょう。
この関係の中において、人(自分と相手)には、こうあってほしいという理想の状態があるんです。
こうあってほしいという状態を均衡状態、そうでない状態を不均衡状態と言います。
そして不均衡状態であれば、人はそれを正そうという働きをします。
それがバランス理論の簡単な捉え方です。
均衡状態と不均衡状態
まずは、均衡状態と不均衡状態を理解しましょう。
例を挙げてみます。
例1
- あなたは相手のことが好き
- あなたは映画鑑賞が好き
この場合は、こんな状態になります。
この時、相手が映画に対してどう思っていてほしいでしょうか。
基本的には好きな人が同じく映画好きならば、嬉しいはずです。
仮にこの状態で、
「映画とか全く興味ない、見る人の気持ちなんて理解できない」なんて相手に言われたら。
なんだか相手を好きな気持ちが揺らいでしまうかもしれませんよね。
なので、この場合は。
?の位置が好きならば均衡状態、嫌いならば不均衡状態です。
例2
- あなたは相手のことが好き
- あなたは毛虫が嫌い
この場合はこうなります。
こうなった場合、あなたは相手が、毛虫に対してどんな感情であってほしいでしょうか。
相手も嫌いであってほしいはずです。
好きな相手が、自分の苦手な毛虫をめっちゃ好き、毛虫なしでは生きていけないなんて言っていたら、ちょっと困惑するのが普通です。
なので。
今度は?の位置が嫌いならば均衡状態、好きならば不均衡状態です。
例3
最後に、もう一ついきましょう。
- あなたは相手のことが嫌い
- あなたは映画が好き
こうなります。
この場合は少し複雑ですが。
自分が大好きな映画を好きと言って欲しくない、のが普通と考えます。
よって。
?の位置が嫌いならば均衡状態、好きならば不均衡状態になります。
均衡、不均衡が決まる理由
均衡、不均衡の状態にはある法則があります。
それが、符号の積です。
中学校で教わった符号の掛け算を覚えているでしょうか。
+と+を掛け算したら+
+とーを掛け算したらー
ーとーを掛け算したら+
これです。
好き=+
嫌い=ー
と置き換え、先ほどの例の三つの符号を掛け算します。
答えが+ならば均衡状態、ーならば不均衡状態。
この法則がバランス理論を理解する大事な柱になります。
これを踏まえて先ほどの例をもう一度見てみましょう。
この場合は、まずこの時点で好き(+)が二つあるので+の状態です。
よって。
?の位置が好き(+)の場合は
(+)×(+)=(+)となり、均衡状態を表します。
?の位置が嫌い(ー)の場合は、
(+)×(ー)=(ー)となり、不均衡状態を表す、ということですね。
他の例もこれに当てはめれば理解できると思います。
不均衡状態の解消とは
最初に書いた、「不均衡状態であれば、人はそれを正そうという行動をする」というところについて説明をします。
一番分かりやすいのは、先ほど挙げた例3かなと思います。
ちょっとだけ具体的に、そして不均衡の状態にしてみましょう。
- あなたは相手が嫌い
- あなたは映画「ショーシャンクの空に」が好き
- 相手も映画「ショーシャンクの空に」が好き
好き(+)が二つ、嫌い(ー)が一つなのでそれらを掛けると(ー)となり不均衡の状態です。
不均衡の状態をあなたは解消したくなるわけです。
パターンは以下の四つです。
- 相手を好きになる
同じものが好きならばもしかしてこの人と自分の感性は同じかもしれない。
思ったより悪い人じゃないのかも。
そんな思考になります。
- 映画「ショーシャンクの空に」が嫌いになる
嫌いな人と趣味がかぶるなんて嫌だ。
なんだか面白くなくなった。熱が冷めた。
そんな思考になります。
- 相手の好きを嫌いにさせようとする
自分は嫌いになるなんてありえない。
だから何とかして相手に嫌いになってもらおう。
そんな思考になります。
- 関係そのものを終わらせる
関係を断ち、相手の情報をシャットアウトしよう。
そんな思考になります。
この中で、基本的に費用が掛からず、簡単に行えると思うものを選定する傾向が強いそうです。
自分にとって。
相手のことを好きになることが最も簡単ならそうする。
関係そのものを終わらせるのが手っ取り早いなら、そうする。
ということですね。
おわりに
もちろん、すべての人がこれに沿った行動を確実に実行すると言うわけではありません。
しかし、なんとなくでも。
現状や過去の出来事と照らし合わせてみたら、納得できる部分は少なからずあるんじゃないかなと思います。
深いところまで理解しようと思わなければ、別にものすごい複雑な理論ではありません。
知っていることで、何かの足しになることもあるんじゃないかなと私は思っています。
良かったら、持ち帰ってみてください。
なにがし。